『恋は雨上がりのように』の感想です!面白くて一気読みしました。
2018年1月にテレビアニメ化。2018年5月には実写映画もされている人気作です。
ざっくり言うとこんな漫画
- 女子高生×45歳バツイチおじさん
- 主人公はケガで走れなくなった元陸上部
- 挫折からの成長物語
- 恋愛あり
- 若いっていいなあ
- 夏に読みたくなる漫画
恋は雨上がりのように(1) (ビッグコミックス)
作者 | 眉月じゅん |
出版社 | 集英社 |
掲載誌 | 月刊!スピリッツ→ビックコミックスピリッツ |
期間 | 2014年6月27日~2018年3月19日 |
巻数 | 全10巻 |
漫画『恋は雨上がりのように』とは?
『恋は雨上がりのように』のあらすじ
主人公・橘あきらは17歳の女子高生。
陸上部のエースでしたが、足をケガしてからは陸上をしていません。
そんな彼女が恋しているのは、バイト先のファミレスの店長・45歳。
イケメンなわけでもなく、10円ハゲができてたり、ズボンのチャックが開いていたり。冴えないオジサンです。
そんな2人の小さな恋。そして、「夢」への挫折、葛藤と成長。
読んだ後は、雨上がりの空を見上げたくなるような物語です。
年の差に注目されがちですが、それ以外にも重要なところがたくさんあります。
この年の差はないな・・・と、遠ざけている方にもぜひ読んでみてほしいです!意外と思っている印象と違うかも?(個人的な見解ですが・・・)
↓ここからはネタバレありです。
物語の核心は避けていますが「情報なしで作品を読みたい!」という方はご注意ください。
主要キャラを簡単に紹介
橘 あきら(主人公)
17歳・高校2年生。黒髪ポニテの似合うクール女子。
表情が硬くてにらんでいると勘違いされたり、興味のない人にはそっけない態度をとったりします。
だけど、好きな人や好きな物にはまっすぐで、とても感情豊か。
陸上部で短距離走のエースでしたが、右足をケガしてから部活を休んでいます。
バイト先のファミレスの店長に片想い中。
近藤 正己(バイト先の店長)
ファミレス「cafeレストラン ガーデン元住吉店」の店長。
45歳でバツイチ。9歳の息子がいます。
純文学が好きで、若い頃は小説家を目指していました。
性格は優しくお人好しですが、少し頼りなくも見えます。
イケオジでもないし、大きな声でくしゃみをしたり、ズボンのチャックが開いていたり、ちょっとダサイおじさん。私服もダサイ。
漫画『恋は雨上がりのように』の感想(ネタバレあり)
賛否両論あるみたいですが、個人的に結末には納得しています。最後まで読んで、「ああ、そういう物語だったんだ」と思いました。
もったいないので、ラストのネタバレはなしで感想を書いていきたいと思います。(ラストについては後日改めて書きたいな)
女子高校生と冴えないオジサン
普通ならありえないなと思います。主人公・あきらは17歳で魅力的な女の子で、同世代の子と恋愛ができるはずです。
だけど店長に恋するきっけはちゃんとあって・・・、あの時のあきらには店長でないといけなかったんだと思います。
高校生とオジサンというと、ちょっと常識的にどうなんだろう・・・という意見もきっとありますよね。(未成年ですし)
この作品では、そういった年齢差の不快さは全く感じませんでした。その理由を考えてみました。
- 生々しい描写がないこと
- 店長があきらに対して紳士的であること
- 店長が自分が若い子に好かれるタイプでないと自覚していること
- 恋愛だけに主軸を置いてないこと
- 情景の爽やかさ
私は、あきらの恋の相手が店長でよかったなと思います。
挫折から立ち上がる物語
この物語の大筋は、「あきらと店長の恋愛」と「挫折との向き合い方」だと思います。あきらは足をケガして陸上をやめ、ファミレスでバイトを始めます。
新しい環境や恋に一生懸命な姿と共に、断ち切れない陸上への想いと葛藤もたくさん描かれています。
若いがゆえの、立ち直ることへの難しさ。意地。
逆に、店長は小説家という若い頃の夢を失った大人です。
あきらの姿を見て、店長も捨てられない夢へと再び向き合います。
恋愛だけでなく、年齢や立場の違う2人が交わることでお互いに影響を与えているのです。
それは決して壮大なものではなく、たった2人の、人生の中ではたった少しの時間。
だからこそ、設定はありえなくても、あたたかく身近な物語として共感できたのだと思います。情景を通しての物語描写が良い
同作者様の『九龍ジェネリックロマンス』でも思ったんですが・・・。
情景描写が上手すぎませんか。セリフのほとんどないコマやページもあって、
風景や空、キャラクターたちの生活が切り取って並べられています。
それをただ眺めていくだけで、何も話が進んでいないようで、だけど少しずつ時間は流れています。
空に浮かぶ雲が、気付かないうちに、ゆっくりゆっくりと流れているような。
急激に気持ちや展開が変わるわけではなく、ゆっくりとした変化です。
あとは、心情や物事の比喩表現も魅力のひとつです。タイトル『恋は雨上がりのように』にあるように、空模様が主人公・あきらの心情を表していたり。
あとは、歳を取ると新しい事を取り入れるのが難しくなってきますよね。
それをパソコンの容量に例えていたり。↓
子供は経験が少ない分、インプットできるスペースがたくさんあるんだよ。
大人になるとデータも増えて、インプットもアウトプットもひと苦労。
『恋は雨上がりのように』8巻 第59話より
直接的なセリフやモノローグで表さず、雰囲気で読ませるようなところがいいんです!
関連おすすめ作品作
『恋は雨上がりのように』の作者・眉月じゅんさんのこちらもおすすめ
『九龍ジェネリックロマンス』
『恋は雨上がりのように』とは違って、30代男女の大人の恋愛です。香港スラム街の「九龍城砦」で繰り広げられるのは、日常かSFか?ちょっと不思議で真相が気になるお話。
さいごに
17歳の時に読むか、45歳の時に読むか。あきらと店長どちらの立場で読むかで、感じ方が違うのではないでしょうか。私はどちらでもないので・・・どちらの気持ちもなんとなく想像できました。
あきらの心に降り続く雨が上がった時、物語はどうなるのか・・・。
若いっていいなあと、素直に思える作品でした。
コメント