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映画『PSYCHO-PASS Providence』の感想(ネタバレあり)朱は正義のために罪を犯すのか?

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PSYCHO-PASSシリーズ、劇場版では第4作目となる『PSYCHO-PASS Providence』を映画館で鑑賞してきました。

楽しかった!やっぱりPSYCHO-PASSシリーズ大好き!というのが一番の感想ではあるのですが、『PSYCHO-PASS Providence』を見て私なりに感じたことを詳しく書いてみたいと思います。

↓↓ここからは、シリーズ全てを通してのネタバレがあるのでご注意ください。

『PSYCHO-PASS Providence』の感想

PSYCHO-PASSシリーズは、アニメの1st Seasonが放送されていた当時からずっと大好きで、シリーズは全部見ています。10年経っても好きなアニメの続編が出ているなんて、なんと幸せなことでしょう。もうガンダムみたいにずっと続けばいいと思います。

そんな『PSYCHO-PASS』の魅力ですが、システムに管理された社会と無機質な世界観、だからこそ、その中で藻掻く人間の良くも悪くも「人間らしさ」だと思っています。シリーズ通してそのスタンスは揺るがず、今回の劇場版もとても『PSYCHO-PASS』らしいお話でした。

今回の話は、劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__』と第三期TVシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』をつなぐエピソードらしいですね(公式より)。確かに、『PSYCHO-PASS 3』では、前作よりも作中の時間が少し経っているようで、狡噛さんと宜野座さんが外務省にいたり、美佳ちゃんが課長になっていたり、なんと朱が勾留されていたり。後は、やたらの父親をちらつかせるなあと思っていました。なるほど、そこを補完する話だったのですね。

の父親である慎導篤志は、厚生省大臣官房統計本部長でした。よく分からないけど、とにかく偉い人。どのくらい偉いかというと、「法律を廃止してシビュラに全て委ねるか」という会議に出席するくらいには偉い。その場面が劇場版の冒頭ですね。その会議の席には朱の姿もありました。朱の立ち位置って何なのでしょう。公安局の刑事でありながら、その枠を超えて政治の世界に足を踏み出しているようです。

「法律を廃止してシビュラに全て委ねるか」という意見は、今まで『PSYCHO-PASS』見てきた視聴者からすると危険極まりない議論だと思いますよね。だけどこの世界ではそれを支持する人も多いのです。いや免罪体質とかどうするんだ、と思うのですが。今までに起きた悲劇を忘れたわけではないですよね…?ただ、だから結局は「楽したい」だけなのかなと思います。「法で裁く=人が善悪を決める」ということ。つまり何かを判断するということは、面倒くさいし責任を伴うし、他の誰かに任せられるならそうしたい。シビュラが優秀なシステムだからというのは建前ではないかと、個人的には思っています(劇中ではそこまで深掘りされていませんが)。

だけど、もちろん朱はそんな意見に異を唱えます。システムを否定はしない、だけど法律を無くすべきではないと主張します。その意見に同調してくれたのが、慎導篤志でした。『PSYCHO-PASS 3』では、慎導さんは人を操る悪いやつみたいな言われ方をしていましたが、分からなくもないです。悪人ではない、だけど、ただの良い人とも言えない。人を読む能力が高すぎて先回りしてしまう、人を上手く利用してしまう、そんなところのある人だなと思いました。

PSYCHO-PASSシリーズは、けっこうオジサン率高いですよね。「PSYCHO-PASSににゃの独断イケオジランキング」としては、慎導さんはランク外です残念。(勝手に)1位は誰かというと、もちろん雑賀先生…………雑賀先生何で亡くなってしまったんですか!!???『PSYCHO-PASS 3』で雑賀先生が出てこないなと思っていました。少し嫌な予感がしていました。だけどまさか、ここで亡くなってしまったなんて。

PSYCHO-PASSシリーズは、けっこうキャラクターが亡くなります。雑賀先生のような主要なキャラクターでも死にます。漫画やアニメなどは「絶対キャラクターが死なない作品」と「主要キャラクターでも躊躇なく死ぬ作品」に分かれると思うのですが、PSYCHO-PASSシリーズは後者ですね。「主要キャラクターでも躊躇なく死ぬ作品」は、メンタルに優しくない代わりに、先の読めないハラハラ感を生み出してくれます。雑賀先生が高層階から落ちそうになった時、朱が先生の手を掴み、他の作品だったらそこで「助かった」とホッとするところを、「PSYCHO-PASSはそんな優しくない。落ちるのか落ちないのかどっちだ!?」と思っている自分がいるのです。この作品が面白い理由は、その先の読めない感もあるので、そのまま突っ走って欲しい気持ちはあります。だけど、よりによって雑賀先生を…。だけど、その予想外感がまた面白くて…というジレンマにひとりで勝手にグルグルしていました。

でも惜しい人ですよね。潜在犯ではあるけれど、実は一番まともな人なんじゃないかなと思います。感情に走ることなく客観的に世界を見ているような。そして狡噛さんが年上として唯一頼れる人でもあったのかなと思います。

今回のメインの話は、「ピースブレイカー」という組織との対決でした。元は外務省の組織だったはずが、解体後に暴走しテロ組織に。ジェネラルというAIを神として崇拝し、それに従って行動を起こしています。そして、ピースブレイカーと公安課・外務省は「ストロンスカヤ文書」を巡って戦うことになります。「ストロンスカヤ文書」とは、簡単に言うと、紛争の可能性を数値化したもの(?)。とにかくこれを使えば、紛争の操作ができる!というものらしいです。平和になるか、争いが拡大するかは使う人次第というところですね。情報が間違っていたらすみません(PSYCHO-PASSは毎回難しい…)。

宜野座さんがショットガンドミネーターをぶっ放したり、須郷さんが飛行機を乗り回したり、派手な戦闘を繰り広げます。だけど概ねいつものPSYCHO-PASSだなという印象でした。危ないテロ組織が現れ、シュビラの抜け穴を突かれながらも、何とか戦う、といった流れですね。だけど今回少し違うと思ったのは、リーダーの砺波はAIに反抗するのではなく崇拝しているということ。ジェネラルがなぜ犯罪行為を進めていたのか、私は正直まだ理解できておりません。だけど、そんなシステムへの従い方は怖すぎます。システムが絶対なわけはないというところが、「法を廃止してシビュラに委ねる」ことの危うさを物語っているのか。それは定かではありません。ただ、砺波は脳にチップを埋め込み犯罪系数を下げるという工作をしており、それは完全にシビュラシステムの欠陥だと思います。法を廃止するべきではないと、朱も視聴者も改めて思い知ったことでしょう。それがなぜ上層部は理解できないのか…。

結局、朱が最後にとった行動は、公衆の面前で局長を撃つこと。これは本当にギリギリのラインなんだと思いました。朱の良いところ(と書くと多少語弊があるかもしれませんが)は、どうやったって犯罪係数が上がらないところ。免罪体質ではないのに。『PSYCHO-PASS 2』では、自分の祖母を殺された時でさえ、傷付いてはいても色相はクリアなままでした。それはつまり分かりやすく言うと、朱は「カッとして殺した」みたいなことが絶対ない人間という意味だと思うのです。どんな良い人だって、何かが起これば犯罪者にならないとは限らない、可能性としては0ではないと思います。しかし朱は限りなく0に近い。それが朱の強さ。だけど朱音は局長を撃ってしまう。もちろん、朱なりの正義を守るためで、局長が人間ではないと知っていたからだとは思いますが。いくら正義のためとはいえ、本当に人を撃ってしまったらそれはアウトです。犯罪をなくすために犯罪を犯すみたいなことは、朱には一番あってはならないことだと思いますし、今までの話が崩れてしまいます。だから、人間ではない局長を撃つことは、朱にとってギリギリの反抗なのかな、と思いました。

勾留された後、泣き出す朱が辛くて…「全て終わってから思う存分泣けばいい」という狡噛さんの言葉が染みます。どんなに強くても25歳の女の子なんですよ。世間厳しすぎますよ…。最後に狡噛さんが「絶対に出してやる」みたいなことを言っていたのが良かったですね。一応3の最後で朱は少し自由になりますが、完全放免という感じではなさそうだし問題は解決していないですね。そこは希望を持って続編に期待したいと思います。朱に平和な時間をもっと与えてあげて欲しい。

そして最後に言いたいのは、狡噛さんと宜野座さんの騎士っぷりですよ。「常守をこの仕事に縛ってしまっている、俺の責任だ。必ず守る(うろ覚え)」みたいなことを言う宜野座さんに、「同感だ」と言う狡噛さん。本人(朱)のいないところで、そんなこと言ってるのがすごく好きです。

朱は可愛い女の子なんですが、あくまで女の子である前に警察官、という態度が良いんですよね。イケメンが周りにいるのに、恋愛に走らないところが良いです。ただ、朱と狡噛さんとのコンビはやっぱり尊いですね。言葉は少なくてもお互い大切に想っているのが分かります。今後恋愛展開になるのかは分かりませんが、狡噛さんも宜野座さんも、まず人として朱を尊敬しているんだろうなと思います。

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ににゃ

月50冊以上マンガを読むただのデザイナー。少女マンガ中心に青年マンガなど何でも好き。元りぼんっ子。一番衝撃受けたマンガは『トーマの心臓』。

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