『九龍ジェネリックロマンス』第42話の考察感想(ネタバレあり)です。
九龍ジェネリックロマンス 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
『九龍ジェネリックロマンス』42話は『ヤングジャンプ 2021 No.21&22合併号』に掲載されました。
※当記事では、
主人公を「鯨井」、工藤の元カノを「鯨井(前)」
行方不明になった方を「グエン(偽)」、蛇沼の恋人の方を「グエン(本)」
と表記しています。
『九龍ジェネリックロマンス』42話のあらすじ
過去の映画のリバイバル「胡蝶の夢」を見に行った鯨井。
その後、楊明と手芸店に行った鯨井は、楊明に映画の良さを語ります。
鯨井は、主役の女優が素敵だったとはしゃぎますが、楊明は不機嫌な様子。鯨井(前)に対して危機感のない鯨井に少しイラついているようです。
楊明はその場から立ち去ってしまいます。
場面変わって、楊明の過去の回想に入ります。
過去の楊明に何があったのか、楊明の今までの発言の意味が少し明らかになってきます。
映画「胡蝶の夢」と楊明の関係とは・・・?
回想が終わり、鯨井はひとり街を歩いています。
鯨井は、様子のおかしいまま立ち去ってしまった楊明が心配のようです。ふと、店に並べられたピアスが目に入ります。
ジルコニアのピアスを見つめながら、鯨井は楊明の事を想いますが・・・。
ついに楊明の過去が明らかに!?
『九龍ジェネリックロマンス』42話の考察感想(ネタバレ)
自分の姿を捨てた楊明の過去とは?
今回は楊明がメインの話。楊明の過去が少しわかりましたね。
39話の考察で少し書きましたが、本当に「胡蝶の夢」の女優の血縁者だったとは。きっと娘ですよね。
過去の回想からするに、楊明は母親の言うことが正しいと思い、母親に与えられるまま言う通りに生きてきたようです。
それが楊明の言う「与えられることで奪われる」なのでしょう。自分の意志がないということですよね。
そして何がきっかけになったのかは分かりませんが、現在の楊明は全身整形をし九龍で暮らしています。
全身整形ってすごいなと思っていたのですが、そんな過去があればその考えに至るのも理解できます。
あれだけ美しい有名女優の母親にそっくりだったら、いくら中身が変わっても外見に囚われてしまいそうです。
楊明は今まで、鯨井(前)の人生を生きている鯨井のことをずっと応援してきました。
過去に、ジルコニアのピアスを見ながら「偽物の輝きに本物を感じる人もいる」と鯨井に言った楊明。
本当にいい子で励まし上手だなあと思っていたのですが・・・楊明自身の過去を考えると今までの言葉が重いです。
過去を捨てたい楊明と過去を持たない鯨井
「レコぽんは過去がないから分からない」
鯨井にとってはとっても複雑な言葉でしょう。
確かに鯨井には自分自身の過去がありません。鯨井がいつから存在したのかは定かではありませんが、外見も職業などの設定も鯨井(前)のものです。
過去があるのと無いのと、どちらが幸せなのでしょう。今回そんなことを考えさせられました。
生きていれば誰にでも過去の後悔ってあると思います。思い返すたび辛い気持ちになる人もいるでしょう。
そんな人たちにとっては、過去を捨てた方が幸せという考え方もあります。
だけど、鯨井は自分の過去がないことに最初はしばらく苦しんでいました。
過去の記憶がないということは自分が分からないと言うこと。記憶によって性格に影響があるかもしれないしアイデンティティにも関わってくるのかもしれません。
そう考えると、一概にどちらが良いとは言えませんね・・・。
鯨井が本当の意味で楊明の苦しみを理解することはできないのかもしれませんが、鯨井のように過去の有り無しに囚われず自分自身の未来を歩めると良いですね。
三者三葉のジェネリック
39話で、「ジェネリック」という言葉について書きました。
そこでは「ジェネリック」の意味を
「同じ成分でできているけど、オリジナルではないもの」「コピー品」と解釈しています。
それは、鯨井(前)の人生を歩んでいる鯨井のことと言えるし、二世社長である蛇沼のことともとれます。
そして今回の42話では、楊明もその一人だと言えると思います。
母親にそっくりで母親の言う通りに生きてきた楊明。回想で「胡蝶の夢」のお団子ヘアにし、母親と一緒に撮影をした時なんて本当に生き写しのようです。
そう考えると、色々な意味でジェネリックの解釈ができるなと思うわけです。
さいごに
楊明は本当にいい子なので幸せになって欲しい!
楊明がどう過去と向き合っていくのか、そして鯨井は楊明に何をしてあげられるのか・・・
次回もとっても楽しみです!
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